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2009年6月20日土曜日

わたしが子どもだったころ (8)

今では少なくなったけれど、私が六歳の頃、近所には柿の木がずっと多かった。夏になれば蝉が大繁殖し降るような蝉の音を聞き、秋にはおやつを失敬する場所にもなった。
その年の秋、わたしは柿の木に登って枝を揺らしてはしゃいでいた。その木は近所の家の裏畑に生えていたものだった。その歓声を聞きつけたのだろう、ばーさんが家の裏口に顔をのぞかせた。
その時、私の登っていた柿の木が根元からポッキリと折れてしまった。私は倒れてゆく木といっしょに畑に叩き付けられた。幸い畑の土が柔らかかったのと、低木だったため傷があちこちに出来たものの、ひどい怪我には至らなかった。さて、これを見ていた主のばーさんがどうしたか。

「そこで待っとけ。」と言うなり、家の中に姿を消し、しばらくして縄を持って戻ってきた。「この悪たれぼーずめ。」と言いながら、私の襟首をつかむと、近くにあった納屋の方へ私を連れてゆき、手に持った縄で私を柱にぐるぐる巻きにして縛り付けてしまった。
それから夕方になるまでの何時間か泣けど叫べど誰も助けは現れなかった。夕方になってばーさんが私の家の方へ連絡したのだろう、母親が詫び言を述べにやって来てくれて一件は落着した。

今でも、まあ適切な処分だろうと思うのだが、、、。

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