僕がその教会を訪れた何回目かの時、ちょうどホワイトクリスマスだった。
暗い空から牡丹雪がゆっくりと舞い落ちて、その背後には山口市亀山の丘に建つサビエル記念聖堂があった。
あのサビエル記念聖堂はその後、火事で焼け落ちてしまった。
それから何年か後、再建されたけれど、僕の脳裏にあるのは、昔の二つの尖塔を持った旧サビエル記念聖堂。
山口から離れてしばらくして旧サビエル記念聖堂と何となく似通った形の教会を見つけた。
それは、神戸の中山手教会。
北側の道を挟んでレストランがあって、そこで食事をした後、夕闇の中にたたずむ中山手教会を見上げて僕はしばらく呆然としていた。
その場所を訪れる事は幾度かあったけれど、ついに中に入る機会はなかった。
1995年、阪神淡路の震災で、中山手教会は壊れてしまった。
その時、旧サビエル記念聖堂は1991年に消失したまま、再建されていなかった。
旧サビエル記念聖堂の消失はショックだったけれど、中山手教会が壊れたのはもっとショックだった。
中山手教会は再建されなかった。
阪神淡路の震災後、久しく神戸へ行く事ができなかったのは、無くなってしまった教会を見るのが辛かったから。
もうずいぶんの時間が経ってしまったけれど、阪神淡路の震災が僕の記憶に残したものだ。
今日は東日本大震災から丁度2年になる。
あの震災の2年前、仙台から松島辺りをブラブラした事がある。やはり震災後の姿を目の当たりに見るには抵抗がある。
阪神淡路の震災後、震災の影が薄くなり、やっと僕が神戸へ出かける気になったのは5年経ってからだったしね。
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