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2009年9月7日月曜日

サー・ウォルター・スコットのアイバンホー

サー・ウォルター・スコットのアイバンホーを読んでいたら、現在のどこかの国を皮肉ったような文章がありました。
該当部分を日本語に翻訳してみました。

そんな場所がこの物語の主要な舞台であり、時代はリチャード一世(一一八九〜一一九九)の晩年にかけての頃である。当時、リチャード一世は捕らわれの身から無事にイングランドに帰還し(訳注:十字軍の遠征からの帰途、フランスで捉えられていた)、王の帰還を期待するというよりも熱望していた熱狂的な支持者達にとっては大変な出来事だったが、その彼等もやがてあらゆる種類の従属の抑圧に苦しめられる亊になるのだが。貴族達の権力はステファン(一一三五〜一一五四)の治世の間に法外なものとなっており、英明な王であったヘンリー二世(一一五四〜一一八九)は彼等の力を何とかそぎ落として、多少とも王に従うようにしたのだが、今や貴族達は旧来からの自分たちの権利を最大限に復活させ、弱体なイングランド王権を侮り、自分たちの城を強固にし、家来達の数を増やし、周囲の人間を隷属民の地位におとしめ、動乱の時代は近いという空気の中で、あらゆる手段を使って事あるごとに、自分が数ある中でも強者だと見せつけようとしたのだ。
 下級地主の亊をフランクリン(小地主)と呼ぶが、彼等の状況は、イングランドの法律の建前上は封建領主から独立した地位を与えられているはずだったのだが、今や非常に不安定なものになっていた。多くの場合はそうだったのだが、もしも彼等が近隣の王を気取る領主の庇護下に入って、同盟と庇護という相互協定により、つまり自分の全てを主人のために捧げる亊により、自ら封建的な編み目の中に組み込まれるのを良しとすれば、一時の平和を手にする亊ができたかもしれぬ。しかしそれは、あらゆるイングランド人が尊重した独立の気風を犠牲にしなければならず、彼等の庇護者の野望、つまり無謀な遠征の一隊に徴用される危険に巻き込まれる恐れがあったのだ。

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